2012年12月28日金曜日

BABY RECORDS' 2012 FAVES TOP 30 - Part 2

 2012年のお気に入り盤トップ30 、パート2(後編)だよ。
 パート1はこちら→ BABY RECORDS' 2012 FAVES TOP 30 - Part 1


THE INTERNET / Purple Naked Ladies (CD)

 OFWGKTAに夢中になるにはあきらかに年をとりすぎているのは承知の上で、去年のトップ30にもミックステープを選んだザ・ジェット・エイジ・トゥモロウの夢宇宙な音づくりは大好きでさ。だからその片われマットが、軍団の紅一点シドねえちゃんと組んだジ・インターネットも直球どストライクなわけさ。そろそろ出そうなジェット・エイジの新作"JellyFish Mentality"も、題名の感じからして期待せずにはいられないさ。




KINDNESS / World, You Need A Change Of Mind (LP)

 デビュー7インチから注目していたとはいえ、ここまで洒落たアルバムを作っちゃうとは驚いたもんなあ。瀧見さんがインターネット記事で"Café Bleu"を引き合いに出していて、「なるほどうまいこというなあ」と思ったっけ。あとなんたってトラブル・ファンクでしょ! 後追いでフィラデルフィアの高等研究所のサイトにある2007年作のMP3アルバム "Live In Philly" を聴いたら、これまたカッコよくってさ。次はどんな手でくるのか楽しみでしかたがない、若きセンスの塊だね。




PARDON KIMURA & DRUMMERS / G.E.P. Good Enough Pocket (CD)

  1999年の"Locals"以来ひそかに動向を追っている葉山の電子音楽粋人が、4名の凄腕ドラマーが叩いたビートに音を重ね、またまたスリリングかつ摩訶不思議な音遊戯をくり広げてくれた。リズミックでユーモラス。大胆なのに品がある。適所に挿まれるのどかなフィールド録音がまた快し。毎度のことながら、他ではちょっと味わえない開放感なのだ。



LILAC & CHAMPAGNE / Lilac & Champagne (LP)

 オレゴン州ポートランド産のいかにもジャケどおりなサイケ&エキゾ皿。グレイルズのメンバーふたりによる別プロジェクトだ。昨今のインディものらしいあいまいな快音質感と、ハーパース・ビザールなんかもひょっこり顔を出すサンプリング・コラージュの妙とで、ポップな軽みがゆらりと漂う濃密なサイケデリック/ガレージ宇宙が展開される。ちょっとした小旅行だね。




NAUTIC / Fresh Eyes (7 inch)

 これぞ年末の大ヒットでしょ。ジェイ・ディラと"Pet Sounds"を合体させたミックステープで世に出たブリオンが、女性SSWブルー・ローズィズとヤング・タークス一派のティックと組んだ、ロンドン拠点3人組のデビュー・シングル。カーズの 'Drive' が低く流れる深夜のホテルのプールで、ケニーGとファイストがのびのびと泳いでいる感じっていうかさ。そっけないジェネリック・スリーヴの7インチがお似合いだし、自分にとっては2012年最高の3分間ポップ・ソングでもあるよ。




NRBQ / We Travel The Spaceways (CD)

  NRBQのむかしのLPはわりとよく聴くのに、2000年代以降の新しい動きは追っていなかったんだよね。夜のクラビング活動が忙しかったりして。でも、初夏に新宿のタワーレコードの試聴機にこのライヴ盤を見つけて、なにげなく聴いてみたら、予想外に新鮮でさ。テリー・アダムズのすばらしさはいうまでもないが、新メンバーたちのすっきり軽めのプレイが現在進行形なバランスをバンドにもたらして、こちらの気分まで入れ替わる思いがするね。




OAK / Firebird (12 inch)

 ヘタうま画のジャケが目をひくロンドンのレーベル、スペイス・カデッツ。今年はいきなりASCの12インチ収録曲 'Aqualoop' がよかったし、レーベル代表選手でもあるロシア人プロデューサーのオークのB面曲にはさらにはっとさせられた。まるで頭の奥にあるつぼみが、ぱーっと花びらを開いていくみたいに、なんとも心地よい感触を覚えるんだな。




ペトロールズ / Problems (CD)

 カラオケで歌っちゃうぐらいだから、東京事変はけっこう好きなんだ(レパートリーは「群青日和」「透明人間」「キラーチューン」……大笑)。それなのに、長岡亮介  a.k.a. 浮雲氏が率いるイカしたトリオをつい2週間前まで見逃していたんだから、オレの目はとんだ節穴さ。押しつけがましさのないソウル感、いやみのない日本語詞、それでいて心にひっかかってくる微妙な表現の着地点がいい。実況録音盤 "Capture 419" もごきげんだったし、来年こそはライヴに足を運ぼうと思う。




SADE / When Am I Going To Make A Living - POOLSIDE's Tons of Drums Edit (12 inch)

 ビューティフル・スウィマーズ 'Swimmer's Groove' 、シャザームのEP "Pool Party" のB面曲 'Luckier' で、爽快なプールサイド感を満喫したのはもう3年前の夏。去年はプールズなるデュオが洒落たレコードを出したと思ったら、こんどはずばりプールサイドを名乗るサンフランシスコのふたり組。2枚組LP "Pacific Standard Time" も快かったが、サウンドクラウドでもダウンロード可のシャーデーの1984年曲リエディットは、みごとに原曲から新たな魅力をひき出した。シャーデーといえば、『ワックス・ポエティックス・ジャパン』誌の記事で、ネルスン・ジョージが「彼女と会ってハグされることは、そう簡単に忘れられる体験ではない」と書いていた。そりゃそうだろう。想像しただけで悩ましい気持ちになっちゃうもんな。




SWINDLE / If I Was A Super Hero (12 inch)

  去年にひきつづき、ソウル心にファンク心、あるいはブラコン心やAOR心を感じるオレ好みダブステップも探し求めているわけで、先に挙げたジミー・エドガー同様、シングルB面にひょっこりまぎれ込んでいたスウィンドルの怪しげファンクな快演、みっけたぜ。ディープ・メディ・ミュージックからのもう1枚に収録、'Mischief' もオモシロかった。




ULVER / Childhood's End (CD)

  小林(弘幸)くんに教えてもらったウルヴェルの新作は、おっとびっくり! もろにアーサー・C・クラークな題名を冠した、かの編集盤"Nuggets"に代表されるサイケデリック/ガレージ・ロックの名曲カヴァー集なんだもの。ブラックメタルの枠を超越しているどころか、もはやデュークス・オヴ・ストラトスフィアの2枚やダムドの変名ナズ・ノマド&ザ・ナイトメアズ "Give Daddy The Knife Cindy" と肩を並べる。わが偏愛の名盤群に仲間いりだ。




JESSIE WARE / Devotion (CD)

 女性シンガーのアルバムではクーリー・Gの "Playin Me" もカッコよかったけれど、今年の自分のふさぎ込みぶりからすると、そっと背中を押してくれるジェシ・ウェアの爽快感こそが求めるものだった。'Sweet Talk'の曲調は、神田くんのティアーズ・フォー・フィアーズ曲カヴァーとも通じ合う。'110%' の片面7インチはゲットしたが、'Running' の12インチを入手しそこねたのは不覚。




★おまけ!

 惜しくも30枚からハズれた次点扱いの作品も3点ほど挙げちゃおう。

JINTANA & EMERALDS / Honey (7 inch)

  一十三嬢のアルバムがトップ30に入ってダブっちゃうこともあり選外に。おいちゃんがあと20歳ほど若く、80年代テイストのかっこをしたちょっと年下の彼女とのひと夏の想ひ出サウンドトラックにできたなら、さぞよかっただろうなぁ……なんて年甲斐もなく甘ずっぱい空想までしてしまう1枚だねえ、うん。うんうん。初期ジーザス&メリー・チェイン~その元メンバー、ジム・ビーティが一員だったアドヴェンチャーズ・イン・ステレオの流れなんかも連想しちゃった。




SKIBEATZ / 24 Hours Karate School Presents Twilight (CD)

 まあそんな孤独な人生の黄昏どきに、大好きなスキービーツがトワイライトと銘打って24時間空手道場の新作を出したもんで、こりゃまたよく聴いたもんだ。どこで耳にしたのか「ルパン三世 愛のテーマ」をそのままつかっちゃった曲もあって、いい塩梅のソウル心が漂うメロウ好みラップ盤だ。率いるバンド、ザ・センセイズ(←空手道場だけに。)も、あいかわらずいい味をだしているぞ。




CHROMATICS / Drumless (free download MP3)

 旧譜からの曲が劇中で流れた『ドライヴ』(2012年お気に入り映画チャート第3位確定)効果は大きく、裏ジャケのクレジットを映画サントラふうにデザインしたクローマティクスの新作"Kill For Love"もCDで即入手。でも「ちょっとばかし重ったるいかなあ」と愛聴盤にまでは至らず。ところがドラムを抜いた別ヴァージョンの無料ダウンロード版にはなかなか浸れちゃって、夏場によく聴いたのだから不思議なものだよ。




 そうそう、衆議院総選挙前に発表されたダウンロード音源2曲、

作者不明 / B.K.D. (Baikokudo)

https://soundcloud.com/gwigs/b-k-d-baikokudo


田我流 / 選挙に行こう

https://soundcloud.com/dengaryu/senkyo-ni-ikou


も、ぐっとくるリアルタイム体験だった。


 また、ふらりと出かけたMOT『アートと音楽』展のセレスト・ブルシエ=ムジュノ作『クリナメン』も、心安らぐ音体験だった(展覧会ぜんたいはまずまず)。↓のYouTube映像の『ヴァリエイション』とほぼ同じ作りながら、もっと狭い空間にプールがひとつだけなので、さらに音がまばらでそこがまたよい。日がないち日、あのプールサイドでのんびり過ごしたいとか思ったり。




※じつは再発盤映画の年間トップ10のリストアップもほぼ終えているんだけど、ドイツから未着の再発盤1枚と未見の新作映画1本(どちらも有力候補)があるので、それを体験したうえで年明けに発表する予定だよ。


 ……とまあ今年はこんなぐあいに締めくくったよ。ではよいお年を!