2014年1月9日木曜日

BABY RECORDS' 2013 FAVES TOP 10+5 - Films

 年が明けてだいぶ経っちゃったけど、2013年の年間チャートのしめくくりは、お気にいり映画編だよ。

 すでに発表ずみの音盤編はこちら↓
BABY RECORDS' 2013 FAVES TOP 30 - Part 1
BABY RECORDS' 2013 FAVES TOP 30 - Part 2
BABY RECORDS' 2013 FAVES TOP 10 - Reissue and Unreleased

 1月4日のブログ記事『2013年に劇場で観た映画』に挙げた全作品(劇場未公開でDVDのみの2本含む)から、新作映画のトップ10と旧作映画再上映/初上映のトップ5を選んだ。ではさっそく“新作映画”のほうからいってみよう。


☆第1位
ホーリー・モーターズ

  じつはレオス・カラックス監督の映画を初めて観たんだよ。そもそもがホラー、アクション、コメディといったジャンル映画びいきなうえに、かつてのお洒落アイテム化に対してもあまのじゃくだったから、長らく敬遠していたんだね。しかも4月にユーロスペースで観た初回は、寝不足もあってモーション・キャプチャーくねくねの場面でうとうとしちゃってさ。ゴジラのテーマ曲が流れたとたん、いっきに目が覚める始末。けっきょく乗りそこねたものの、なんだか妙にひっかかっていてさ。粉川哲夫氏のサイト記事などでおさらいして、9月に下高井戸シネマのレイトショウで観たら、うって変わって圧倒されたもんなあ。映画をとり巻くいち時代が終わりつつあるのを、ここでもひしひしと感じたな。年末の早稲田松竹で3回めといっしょにいわゆるアレックス3部作を観たら、意外なほどチャーミングだったり、いろんな芸の細かさに気づかされたり。9歳ちがいなれど同世代意識すら感じたりしてさ。ずいぶん遅くなったけど、よいタイミングで出会えた気もするんだな。
 


☆第2位
キラー・スナイパー (DVD)

 残念ながら劇場未公開でレンタルDVDのみのリリース。これがばつぐんにオモシロい! ネジがはずれた田舎っぺたちのしょうもなさを「これでもか!」とたたみかける、発表当時75歳のフリードキン御大さすがだなあ。配役がまた完璧でしょ。近ごろ画面にマコノヒーが出てくるだけで笑っちゃうきっかけはここからだし。権利や懐事情はあるにせよ、やっぱり映画館のスクリーンで観たい。通うよ。




☆第3位
フライト

 ちょうど8ヶ月半ほど飲酒を断っていたまっ最中で、ほとんどフラッシュバック状態になっちゃってさ。「うわぁー、デンゼル飲むんじゃない!」なんて……手に汗どころが全身ふらふら。ほんとにもう、IMAX3Dで観る『ゼロ・グラビティ』どころの話じゃないよ(笑)。ウィキペディア『フライト(映画)』のマーケティングの項にあるように、予告編じゃ筋立てをぼかしてあるから、強烈な不意打ちでもあった。そこにデンゼルの演技力が追い打ちだもん。ジョン・グッドマン演ずるドラッグ・ディーラー(登場テーマはストーンズ)も最高だし、役者がそろっていたね。
 


☆第4位
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

 とにかく肌に合うんだな。長命の吸血鬼カップルを主人公に「古い人間でござんしょうかね」というところから始まって、唸るほど年期が入ったポップ・カルチャー雑学を全編にちりばめながら、いまの世を切実に憂う。問題提起の果てに「でも、やるんだよ!」と前のめりに終わるのがごきげんだし、信頼できる。チャーリー・フェザーズワイト・ヒルズ、そして「ソウル・ドラキュラ」……音楽のつかいかたも当然イカすから、帰りにサントラCDでも買おうかと思ったら、なんと未発売! この曲目なら、ドーナツ盤6枚組でも買っちゃうご同輩がごまんといるのにね。
 


 ☆第5位
ムーンライズ・キングダム

  どこを切ってもウェス・アンダースン監督印。最愛の『ライフ・アクアティック』(2004年)のつぎにぐっときたもんね。ぐっとくるとはいっても、共感する役柄はブルース・ウィリス演ずる中年警部なんだけどさ(笑)。いまさらへそ曲がりな年齢でもないし、素直に素敵な映画だと思うんだな。エンド・クレジット後半の楽器デモンストレイション(2:34~)も楽しかった。
 


☆第6位
恋するリベラーチェ 

 ぎんぎらぎんの芸能人の私生活を描く実録メロドラマ……なんていったら、いつもは腰がひけちゃうけどさ。瞳きらっきらのダグラスに『ブギー・ナイツ』ばり70's〜80's青年のデイモン、そして極めつきロブ・ロウの熱演&怪演を前にしては、感動すら押し寄せちゃうもんな。そして新宿ピカデリーの帰路、駅東口の広場でふと目に飛びこんだ映画宣伝の大看板。満面の笑みをたたえたカメラ目線リベラーチのまばゆさにくらり……。昨年3本封切られたスティーヴン・ソダーバーグ監督作では『サイド・エフェクト』も観た。映画ぜんたいはともかく(ハリウッド版『ドラゴン・タトゥーの女』にひきつづき)ルーニー・マーラ嬢の美貌に見とれちゃったな。
 


 ☆第7位
パッション 

 わかっちゃいるけど……じゃなくて、わかっているほどにぐっときちゃう、ブライアン・デ・パルマ監督の様式美&映像技法。スマートフォンなど小道具類をさらりと更新したうえで、問答無用にたたみかける「よっ、待ってました!」の大連発。まんまと期待以上の多幸感に包まれちゃったとさ。
 


 ☆第8位
華麗なるギャツビー 

 はるか昔は「けっ!」なんて思う時期もあったけど、ディカプリオもすっかり味が出たねえ。そしてバズ・ラーマン監督一流の、綱渡り一歩手前でずしっと手応えをもたせる現代風味と悪趣味の織りまぜぐあい。7月に帰省した折にひまつぶしで通常版を観て、すぐに3D版も体験したくなり2回めを六本木で。めくるめく充実のひとときだったね。
 


 ☆第9位
奪命金

  そこまで大ファンという自覚はないのに、2012年トップ10の第8位『強奪のトライアングル』にひきつづきジョニー・トー監督作が入った。しかも異色の金融サスペンスときたもんだ。株価の動きに一喜一憂というふだん関心のない題材に期待半分だったから、余計にハラハラと楽しめたのかな。ラウ・チンワン演ずるとんまで義理がたいやくざの下っ端、バーコード頭の高利貸しのおっさん、胸を金属製の花でぶっ刺された成金男などなど……不穏なピアノのテーマ曲とともに、印象ぶかいあの顔この顔が脳裏によみがえる。今週末封切りの『ドラッグ・ウォー 毒戦』はどんなかな。
 


 ☆第10位
女っ気なし 

 いきなり突き刺さるこの題名(笑)。そして予告編に映る主人公の風采のあがらなさ。つまりオレ必見ってことでしょうが! このシルヴァンが着るもの、部屋に置いてあるものがいちいち「いかにも」で、細かいディテイルがきいている。それでいて描写じたいはごく自然なんだなあ。ぜんたいを通じてそんなさりげなさがなんとも心地よく微笑ましく、だからこそ伝わってくる心の機微。海辺の田舎町オルトの風景もたまらないし。初めて知った新顔ギヨーム・ブラック監督の愛すべき中編(58分)だった。
   


 つづいて、“旧作映画再上映/初上映”のトップ5だよ。

 ☆第1位
警視-K(1980年)一挙上映

  家にテレビの受信環境がなくてとくに困ることはないが、日本映画専門チャンネルで『警視-K』が放映されると知ったときは、いささかそわそわしたもんだ。そこに訪れた一遇のチャンス。6月15日、シネマヴェーラ渋谷のスクリーンで全13話をいっきに観ちゃおうという催しが、特集上映『勝新太郎〜蘇るカツシン伝説〜』の目玉として企画された。朝の9時台に前売券の整理番号2番(笑)で入場してから夜の23時まで、たっぷり極上の時間を過ごせるってわけさ。途中で中村玉緒さんら出演者のトークショウもあり、勝新ファンだらけの会場は笑いに包まれた。ピッピさんこと水口晴幸氏にいたっては客席で全話を観賞。幕間にスピーカーから流れる主題歌 'My Sugar Babe' 含む達郎さんのアルバム "Ride On Time"(1980年)がまたたまんなくてさ。ほんと幸せな一日だったな。
 


 ☆第2位
 ベルリン・アレクサンダー広場(1979~1980年)

 DVD箱は値も張るし、どうせならユーロスペースのスクリーンでというわけで、3月半ばの3日間に分けて全14話15時間を集中して体験。そりゃさすがにへとへとになったけど、『警視-K』と並ぶ2013年のハイライトだった。再映に寄せた中原昌也氏のコメント「ここで描かれる殆どのエピソードに身に覚えがある…フランツ・ビーバーコップはオレだ!」は、けだし名言。たまにYouTubeで生ビールのシーン(第7話)とか観て、しんみりしたりしてさ。この色味がまたねえ。やはり箱も手に入れたいね。
 


 ☆第3位
あやつり糸の世界(1973年)

 昨年あたまのほうはライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品を観る機会が多く、前後編合わせて3時間半のテレビ向けSF映画も、水道橋のアテネ・フランセ文化センターにて。よくキャメラが映りこまないなっつーぐらい鏡のイメージでいっぱいだったり、まぬけなアクションが可笑しかったり。でもいちばん印象に残ったのは、なぜかラストに流れるフリートウッド・マック 'Albatross'(1968年)のメロ〜な脱力ぐあいだったりしてさ。ファスビンダーのSFものといえば、監督作じゃなくて主演作『未来世紀カミカゼ』(1983年)の日本語字幕つきもスクリーンで拝みたいねえ。
 


 ☆第4位

プッシャー・トリロジー(1996年/2004年/2005年)

  これまた国内版DVD箱発売に合わせた1週間限定上映。2012年トップ10の第3位『ドライヴ』でおなじみニコラス・ウィンディング・レフン監督の出世3部作『プッシャー』(1996年)、『プッシャー2』(2004年)、『プッシャー3』(2005年)をいっきに観た。裏社会のトラブルで追いつめられる、不器用で憎めないジャンキー勢ぞろい。なかでも第3作の主役、老いた麻薬元締めミロのほろ苦〜い後味が残るなあ。いまいち評判が冴えぬ最新作『オンリー・ゴッド』には期待値低めでのぞんでみよう。
 


 ☆第5位
プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ(1987年)

  ひと足お先の『爆音収穫祭』で、満場のプリンス狂と再上映を祝ったよ。案の定、'U Got The Look' のヴィデオ・パートだけは粗い画質だが、そこは単なる記録映画とは一線を画す、映画館で体感するためのライヴ映画。くっきり活き活きと動きまわる若き殿下とその仲間たちに、目も耳も♥︎も釘づけなのさ。とくにシーラの活躍ぶりには、 'Oh Sheila' を歌って差し上げたいほど(って古いなあ……)。最後のクレジットが流れ終わり、一瞬の間をおいて沸き起こった拍手でめでたしめでたし。