2015年1月1日木曜日

BABY RECORDS' 2014 FAVES TOP 30 - Part 1

 おやまあ、ぼやぼやしていたらすっかり年が明けてしまった……。遅ればせながら元日に発表する、お気にいり盤の年間トップ30(2014年版)だよ。
  例によってトップ3だけをきめて、あとはアルファベット順。タイトルうしろのカッコ内は所有しているフォーマット。それぞれに感想コメント、ジャケット(もしくはレーベル部分)写真をつけ、YouTubeやSoundCloudで聴けるものは貼っておいたゾ。
 ページが重くなるので記事をふたつに分けた前編、パート1から。ひまつぶしにでもどうぞ眺めてみて頂。 


☆第1位
KINDNESS / Otherness (LP+CD)

 つまりはセンスと才能ってことなんだろうけど、ごくシンプルな定番ぞろいのワードローブから、スタイリッシュに着こなす能力が桁はずれって気がするんだよ。'This Is Not About Us' のボブ・ジェイムズにしても、'With You' にふっと入ってくる 'Moments In Love' にしても……とうに使い古されているはずの素材を真正面から再利用して、これほどまでに精錬されたソウル・ミュージックを生みだしちゃうんだから。ゲスト陣を適材適所にしっくり配するプロデュース力も破格だし。うっとりするほどの洒脱さと血の通う作家性をより深遠に追求して、デビュー傑作 "World, You Need A Change Of Mind"(2012年トップ30入り)すら軽々と超えちゃった。
 


☆第2位
NIKKI JEAN / Summertime Girl (MP3)

 なんとサウンドクラウドの無料ダウンロード音源、しかもたった1曲ぶんが第2位に入っちゃった! これぞ2014年を代表するサマー・クラシック。とにかく昼夜を問わずふいに聴きたくなり、7月から9月にかけての毎日にどれだけくり返したことか……。エアコン冷房はつかわず扇風機2台でしのぐ、我が部屋の蒸し暑~い空気に、おそろしいほど一体化。瑞々しくもけだるく、気が遠くなるような、まさに夏そのもののイメージ。あまりの夏期限定仕様ゆえに、年始のいま聴いてもまるでぴんとこないほどなのだ。“あの”たまらない感覚を味わうには、来夏を待つか南半球を旅するぐらいしかないはず。ニッキ・ジーンの他の音源にはこれといったお気にいりもなく、個人的ワン・ヒット・ワンダーと呼べる永遠の夏名曲だ。
 サウンドクラウド経由の女性R&B。アルバム単位では、メイラット×ジャンスポート・Jの9曲入り "Move Me"(無料ダウンロード可)が粒ぞろいで愛聴中。惜しくもトップ30には入らず。




☆第3位
MOONCHILD / Please Rewind (CD)

 トーストをかじりながら毎朝チェックするサファリのブックマークのひとつ、bmrのサイト内ホットスポットの記事で発見。まだまだ底冷えのする3月下旬、すきま風吹きすさぶ中年男のハートをほんのりじんわりと温めてくれた、バンドキャンプ通販の自主制作CDだ。USCでジャズを専攻したという紅一点含む同窓生3人組のアルバム第2作。ヴィデオに映るルックスも、まだどこかあどけない令息令嬢っぽさ。いわゆるネオ・ソウルやグラスパー以降現行ジャズを志向しつつ、ずばりそのものというよりも、憧れで歩み寄っている……といった微妙な距離感が、むしろ稀有な魅力につながっているのだ。いっしょに注文した前作CD-R "Be Free"(2012年)も同路線。曲調のヴァリエイションはけっして豊富じゃないが、そのぶん統一されたやわらかなトーンが心地よく全身に浸透してくる。第2位 'Summertime Girl' が半袖の季節向きならば、こちらはふかふかのダウンジャケット、あるいはもっこもこのセーターにこそどハマりなのさ。




ここからはアルファベット順だよ。

DJ QUIK / The Midnight Life (CD)

 サウンドクラウドで先行公開された 'Life Jacket feat. SUGA FREE & DOM KENNEDY' と 'Pet Sematary' のジューシーなメロウネスにすっかりとろけて、街のCD店をあちこち回ったものの、見つからなくてインターネット海外通販。どうやら流通に難がありそなクイックの新作なり。前作 "The Book Of David" の抑えめ密室感にも痺れたが、夜景にくり出すこの開放感も申しぶんなし。とどめは、ラファエル・サディークの2009年来日公演(すでに懐かし)でも弾いた盟友ロブ・ベイコンによる、水蜜桃のごときギターをフィーチャーの 'Bacon's Groove feat. ROB "FONKSTA" BACON'。とっぽい輩がしのぎを削るG界においても、比類なき洒落っけと茶目っけ、そして天然のひねりぐあい。クイック印のファンク心は不滅なのさ。




BRYAN FERRY / Avonmore (LP+CD)

 前作 "Olympia"(2010年)からは12インチ各種、なかでもトッド・テリエレオ・ゼロタイム+スペイス・マシーンが競った 'Alphaville' のリミックス盤2種なんていうイカしたシングル・カットがありうれしかったが、アルバム本体から滲む年相応の老いには一抹のさみしさを覚えたものさ。ところがどうだ! 豪華ゲスト陣にナイル・ロジャース、マーカス・ミラー、ジョニー・マーらをひさびさ呼び寄せた最新盤は、狙いどおりに "Boys And Girls"(1985年)~ "Bête Noire"(1987年)あたりの艶やかさと軽みへと回帰。まるで黄昏どきを覆う闇に、きらびやかな幻のネオンがつぎつぎと灯り始めたかのよう。指紋がつきやすい光沢紙質のゲイトフォールド・スリーヴ、さらに同内容CDを封入という豪華仕様もお似合い。もし今野雄二氏がご存命ならどんな評文が読めたかな。
   

HOT16 / 1983 EP (12 inch)

 大学3年生のときに流行ったチャッキー・ブッカーのオリジナル版 'Turned Away'(1989年)が単純に好きなんだ。なのに '1983 EP' とはこれいかに? 「まあ硬いこといわずに……」とリヴァイヴァル世代の抱くほんわか淡いイメージにつきあってみたら、なんだか居心地よくって春の定番化。オレゴン州ポートランドのブギーファンク寄り眼鏡青年プロデューサー、ダン・キントが、地元のみならず遥かアムステルダムからお気にいりMCを招いての6曲入り12インチ。




THE INTERNET / Feel Good (CD)

 ネット配信は大幅に先行なれど、ジャケちがいCD版は年をまたいだ2014年発売というわけでチャート入り(前作と同じこのパターン、歯がゆし)。人気実力ともに安定するOFWGTA一派でも、やはりマット・マーシャンズのプロダクションは裏切らず。そしてひたすら甘くとろけながらも、すっきりしなやかに一本芯が通るシドの歌心の不思議。2年前のデビュー傑作 "Purple Naked Ladies" に勝るとも劣らぬ、洒脱でメロウでボッサな夢見心地盤だ。
 サウンドクラウドから無料ダウンロードできる約34分コンパクトな夏向きDJミックス "Hypetrak Mix: THE INTERNET - Summer" も、ふたりのカジュアルな趣味のよさをゆるり快適に楽しめたゾ。




MICHAEL JACKSON / Xscape (LP)

 とにかく 'Love Never Felt So Good' にはぐっときまくった。あのデモ録音オリジナル版(指パッチン、手拍子&ポール・アンカのピアノのみの伴奏)から、よくぞふくらませたものだよ。かつてジョニー・マティスがひろいあげ吹き込んだ1984年AOR版も手がたいとはいえ、これほど心は震えないもの。ジョン・マクレイン 、ジョルジオ・タインフォート、フランク・ファン・デア・ハイデンの職人技、凄い。けっきょく手が伸びなかった "Michael"(2010年)と異なり、アルバムぜんたいの制作姿勢が的確だ。




KIMBRA / The Golden Echo (2LP)

 インターFM、あるいはAFNだったか……ある秋の日、ラジオで流れた気になる曲をiOS用音楽検索ソフトのシャザームで調べたら、キンブラの '90s Music' と出た。そしてべつの日、同様に検索した結果がやはりキンブラの 'MIracle' でさ。こりゃアルバムを聴かなくちゃということで、新宿ユニオンの6階で2枚組のLPを購入。2013年のジャネル・モネイ "The Electric Lady" にひきつづき、メインストリームをあなどっちゃいかんと思い知らされる、大充実ポップ・エンタテインメント作だよ。アルバムのそこかしこにちらりと表れるプリンス的意匠もまた愉し。
 ビルボード・ホット100的なポップ・ソングから2014年のトップ3を選ぶとするならば、MJの 'Love Never Felt So Good'、キンブラの 'Miracle'、テイラー・スウィフト 'Shake It Off' で決まり。そういえば 'Shake It Off' を最初に聴いたとき、「トニー・ベイジル 'Micky'ファレル 'Happy'ボブ・シーガー 'Shakedown'(サビ部)が合体した曲か!」なんて、おいちゃん感心しちゃったもんな。




KIRINJI / 11 (CD+DVD)

 好きな曲はあるし敬意こそ抱いていたが、兄弟デュオ時代の片仮名キリンジのファンとはけっしていえなかった。なのになのに、再出航 第1弾の横文字KIRINJIの軽やかさに、すっかりやられてしまったわけさ。引っ越して間もない時期に先行公開ヴィデオを観た「進水式」(猪俣のユキちゃん出ているね)の曲テーマが、なんとなく心情に合ったのはたしかだけどさ。手練ぞろいとはいえども、いきなり6人組のバンドとして魅力的なんだよね。「雲呑ガール」~「Fugitive」~「Onna Darake!」の流れなんて、ほんと最高だもの。この3曲は鼻歌登場率もひじょうに高い。「Onna Darake!」は、よく聴くTBSラジオ『ジェーン・スー 相談は踊る』テーマ曲の(おそらく)発展形だしさ(どっちが先かな?)。




LILACS & CHAMPAGNE / Midnight Features Vol.1: Shower Scene (12 inch)

 過去2枚のアルバム(第1作は2012年チャート入り)に輪をかけて、映像喚起力をたくましくさせるメキシカン・サマー名物デュオ(グレイルズのメンバーでもある)の6曲入り。とうとう題名で時間帯とシーンまで設定してきたからね。オフィシャル・ヴィデオのブラウン管&VHS風情にも感電させられた、わずか2分半足らずのタイトル曲が最高。これをBGMにシャワーを浴びるためだけに、どこかのひなびた洋式ホテルにチェック・インする衝動にかられちゃう。ぜひ実行したい。




THEOPHILUS LONDON / Lovers Holiday Ⅱ (MP3)

 どうやらヤングのファッション・リーダー的存在らしきセオフォラスくん。「数年前のリオン・ウィア真似ジャケのラッパーね」ぐらいしか認識なかった春先に、当のウィア御大を制作に迎え、フィーチャリングでブラッド・オレンジだけならまだしも、フォース・MDズまで参加のオヤG泣かせときたもんだ! そこで無料ダウンロードした6曲入りミックステープがこれ。件の絶品スロウ・ジャム 'Figure It Out feat. BLOOD ORANGE, THE FORCE MDs' ばかりをピンポイントでくり返したわけさ。のちに出たアルバム "Vibes" にも再収録されたものの、出たばかりのアナログLPは懐ぐあいにより未入手(1曲お目当てで欲ちいなぁ……)。
   

NAUTIC / Navy Blue (12 inch)

 2012年のベスト・シングルだった7インチ 'Fresh Eyes' につづく初の12インチは、これまた高温多湿な盛夏にうってつけの清涼レイド・バック感。汗びちゃのTシャツを着替えるタイミングなどに、ふと針を落としてほっとひと息ついたものさ。秋口に出たもう1枚、'Freedom Of The Floor' のリミックス12インチには、ウォマック&ウォマックの1988年大名曲 'MPB (MIssin' Persons Bureau)'好カヴァー版も入り、うだる残暑に快い風をふわりと届けてくれたんだわさ。
 


MY BUBBA / Goes Abroader (LP)

  寡聞にして知らなかったアイスランドとスウェーデン出身の女性カントリー・デュオ、マイ・ババ&ミーが名前をちょい短縮してのアルバム第2作(2010年にデビュー作 "How It's Done In Italy" が出ている)。バンジョーとダブル・ベースの弾き語りというフットワークの軽さもあって、欧米各地を飛びまわり、ついにはカリフォルニアでスタジオ入りした成果がこれなんだって。制作は、なるほどデヴェンドラ・バンハートも手がけるノア・ジョージスン。そういや11月に『白夜のタンゴ』(ヴィヴィアン・ブルーメンシェイン監督)なるフィンランドのタンゴのドキュメンタリー映画を観たけどさ、この北欧のカントリーにもどこか似たようなの~んびりした気風があって、やけに和んじゃうんだな。



ONCE & FUTURE BAND / Brain (12 inch EP)

 いつぞや、ネット・サーフィン(←カッコいい言葉)中にA面2曲めの 'Destroy Me' を一聴して、90年代半ばに初めてデイヴ・シンクレアがらみの名曲群('Wanderlust' とか 'O Caroline' とかさ)に触れたときみたく、なんとも儚げでせつない気分がこみあげたんだな。しっかり仕様の見開きジャケもそそる、カリフォルニアはオークランドを拠点とするサイケデリック・トリオの4曲入りデビュー・EP。もう1曲のスロウ・テンポ 'The Old Brain' だけじゃなく、変拍子をきめまくるスモーキーな2曲(ちょいイエス的)もじつにイカす。プログレッシヴでありながら、ポップな素養も豊富なようすで、メンバー出演YouTube動画の、24秒あたりから流れる謎の曲がこれまた気になる。いい顔ぞろいだし、生のステージも観てみたいね。
 


 ☆パート2(後編)→"BABY RECORDS 2014 FAVES TOP 30 - Part 2"につづく。