2015年1月6日火曜日

Lil' Bit Of Gold


 昨秋に『ジャージー・ボーイズ』を観た帰り道、3インチのCDシングルのことをあれこれと考えた。というのも、ザ・フォー・シーズンズに親しむようになったきっかけが、1988年にライノ・レコーズから発売された4曲入りの3インチ盤だったからだ。


 念願のCDラジカセ(ソニーのドデカホーン)を手に入れたのは、大学生になりたての1987年。主に長時間の編集盤や旧譜の再発盤をCDで購入し、これまでどおりアナログ盤で集める新録音源との差別化をはかっていた。ちなみに初めて買った通常サイズ(5インチ)のCDは、ヘヴン・17のコンピレイション "Endless"(1986年)。放課後によく通った、渋谷の輸入盤屋シスコのCD専門店(のちにテクノ店になる場所)で見つけたものだ。あくまで新譜レコードを中心にしつつも、そこに連なる旧作の探究心も抑えがたい10代の終わり、タイトル数急増中の輸入再発CDは、かっこうの道しるべになった。

 そんなある日、いつものようにシスコのCD 店に立ち寄ると、細い短冊状の台紙と紙ジャケつきで包装された、見たこともない小型のCDが……。ライノじゃなくてライコディスクから出たフランク・ザッパの'Peaches En Regalia'だった。もの珍しさは当然として、膨大な選択肢のザッパ音源に初接近するチャンスと即購入。3曲いずれも最高(とくに 'Lucille Has Messed My Mind Up' がお気にいり)で、すぐさまザ・マザーズ・オヴ・インヴェンション "Freak Out!" もCDで入手した。

 それからほどなくしてライノから売り出されたのが、バンド別のオールディーズ名曲EPシリーズ "Lil' Bit Of Gold" だ。その名のとおり、各組を代表する4曲(ちょびっと)入りで、蒸着膜にアルミではなく金をつかったゴールドCD仕様。1988年から1989年にかけて全60種が発売された。くわしいディスコグラフィは、ロンドンの有名中古盤専門レックレス・レコーズの元店員、マーク・バリー氏のブログ記事(2009年5月1日)をご参照のほど。つまりザ・フォー・シーズンズとの出会いは、お手ごろ価格の入門編 "Lil' Bit Of Gold" の1枚だったわけ。'Sherry' ぐらいは往年のヒット・パレイドの一部として知っていたし、姉がサントラ盤を持っていた『グリース』の主題歌も耳にしたとはいえ、まともに向き合ったのはこれが初。すぐ夢中になり、毎日何度もくりかえした。'Working My Way Back To You' がとくに好きだったな。




 当然4曲だけじゃ飽きたらず、デビュー25周年で同じくライノから出た、フランキー・ヴァリのソロ音源も含む3枚組/全52曲のベストCD "25th Anniversary Collection" にアップグレイド(青山骨董通りのパイド・パイパー・ハウスにて)。'Bye Bye Baby' はベイ・シティ・ローラーズ'Can't Take My Eyes Off You' はボーイズ・タウン・ギャングの曲だとばかり思っていたから、彼らがオリジナルと知って驚いたよ(笑)。



 けっきょくその後、曲が重複する3インチCDは手放してしまい、3枚組のほうも中古盤屋で見つけた同内容の4枚組LPボックスに買い替えた。ひさしぶりに蒐集箱を漁ってみると、いま手元に残っている "Lil' Bit Of Gold" は、ザ・コーデッツ、ザ・フリートウッズ、ジャン&ディーンの3枚のみ。他の数枚は気まぐれで売ってしまったようだ。

 スロット式挿入口のプレイヤー/光学ドライヴの普及により、あっという間に引退に追いこまれた、懐かしの3インチCD。およそ20分という容量をとっても、20世紀のシングル盤として理にかなう可愛いやつだった。もし "Lil' Bit Of Gold" に出会っていなければ、2014年お気に入り映画の第1位に『ジャージー・ボーイズ』を選ばなかったかもしれない。それにしても、現在も5曲入りの廉価配信EPシリーズ "Rhino Hi-Five" を定番にしているライノは、一貫性があるね。