2016年2月18日木曜日

BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 10 - Reissue and Unreleased

  世界最遅発表の2015年間チャートしめくくりは、お気にいり“再発盤&発掘音源盤”のトップ10。近ごろは新作や中古盤にかまけて、再発盤にまでなかなか手がまわらないのが正直なところ。それでも鬼凄いのからちょい気のきいたところまで、なかなかのラインナップと出会えたよ。

  新作音盤編↓
BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 30 - Part 1
BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 30 - Part 2  
  映画編↓
BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 10+5 - Films


☆第1位
坂本龍一 / 音楽図鑑 --2015 Edition-- (2CD)

  不朽の名盤『音楽図鑑』(1984年)のリリースが高校1年生の秋。翌年の「フィールドワーク」と「ステッピン・イントゥ・エイジア」は、それぞれが忘れえぬ想い出と密接にからみ、購入日の情景まで覚えている。そこからの『未来派野郎』(1986年)、初のソロ・ツアー『メディア・バーン』東京公演という一連の流れは、わが10代音楽体験のハイライトのひとつだからさ。オノセイゲン氏のリマスターというだけでうれしいのに、なんと未発表音源集との2枚組仕様! はちきれんばかりに期待をふくらませ、発売当日にタワーレコード渋谷店で入手したよ。
  気になるディスク2には、かつてなけなしのこづかいをはたき観まくったVHS "Tokyo Melody"(1985年)でおなじみ“あの曲”や、NHK FM『サウンドストリート』のテーマも含む12曲を収録。ほとんどが完成途上の音源だから当然とはいえ、想っていたよりずっと素朴な印象だ。達郎さんや美奈子さんのコーラスが生々しくフィーチャーされていたりと、セッションの進化過程がじつに興味ぶかく、『キーボード・マガジン』特集号片手の愉悦に浸ったものさ。教授のインタビュー記事にはボックス・セット案も出たとあり、「買ってくれるのは30人くらい」なんて謙遜しているけど、ばっちり需要あるでしょ。ともあれファンとしては、療養からの復帰がなによりの喜びだ。




☆第2位
DANNY JAMES / Pear (LP)

  2014年の当チャートにランクいりした、ワンス&フューチャー・バンドの12インチ "Brain EP"。その感想コメントで触れた「メンバー出演YouTube動画の、24秒あたりから流れる謎の曲」の正体がついに判明だ。なんてことはない、中心メンバーのダニーがカセットで出したソロ・アルバム(2013年)収録曲 'Tight Lipped' だったわけ。バンド本体よりもAMラジオなポップ感覚が全編で炸裂。アナログ再発にあたっての新装スリーヴがまた最高。題名は洋梨なのに、なぜ青りんご……とお思いでしょうが、VU&ニコの 'PEEL SLOWLY AND SEE' のごとく記された 'Pull Here' に従い、りんごのつる部分をひっぱるとあ~ら不思議。にょきにょきっと伸びて梨のかたちに早変わりという、ギミック仕様なのだ。中身もパッケイジもすこぶる楽しい、カリフォルニア産サイケデリック・ポップの快盤なり。




☆第3位
LION & THE LAMB / Lion & The Lamb (LP)

  かつて日本盤LPも出ていた名バンド、ラヴァのアルバムをたてつづけにCD再発し急浮上する、地元ノルウェイ産AOR専科プリザヴェイション・レコーズ発。新譜のほうのチャートで選んだ架空のウェストコースト系デュオ、ブルー・ジーン・コミッティの世界を地でいく、オスロの知られざるふたり組ライオン&ザ・ラム唯一のアルバム(1978年)だ。ソフトでジェントルで爽やかなスタイルは、夏の早朝カーテンを開けた直後にお似合いの定番だった。'My Morning Sun' なんて曲もあるもんね。1~2分台の曲が多めで、もうちょいたっぷり聴きたい気がするが、さらっと聴き終えリピートするもいとをかし。アナログ盤のみでの再発は、収録時間の短さゆえかな。オリジナル盤と異なりナウいロゴをあしらった新装ジャケも、なかなか好感持てちゃう。CD再発が予告されているウェストポイントの1983年盤 "Face To The Sea" も楽しみなのだ。




ここからはアルファベット順だよ。

COOL CREATION OF ST. MAARTEN / Nighttime On The Beach Island (7 inch)

  ちょいと値がはるとはいえ、なかなか気のきいた7インチが続々再発の現状には、うれしい悲鳴が出ようってものさ。そんな2015年代表例が、大好きなウェルドン・アーヴィンの 'I Love You'。でも曲じたいは有名だから、ここでは同じくエディンバラのアセンズ・オヴ・ザ・ノースから出た、無名ローカル・バンドの1977年プエルト・リコ録音を選ぼう。歌ものモダーン・ソウルのA面 'Wish Upon Love' もすてきだが、波音に導かれるB面インスト曲 'Nighttime On The Beach Island' の、甘くやるせない深夜ビーチの涼感にもう骨ぬきなのさ。




EVERYTHING BUT THE GIRL / Temperamental (2CD)

  EBTGのデラックス2枚組シリーズが、ついに完結。4年をかけて9枚のオリジナル・アルバムが出そろった。ベンとトレイシーが関わった中身の充実はもちろんのこと、統一デザインのハードカヴァー仕様でCD棚の並びもばっちりさ……でもあれ? うっかり寸法を誤ったのか、2015年リリースぶんのラスト2作だけは5mmばかり背が高い(笑)。"Eden"(1984年)のときは 'Mine' の不完全ミックス(リード・ギターぬき)を入れちゃったミスもあり、若干詰めは甘いが愛すべき企画だったね。記念にここでは1999年の最終作を挙げよう。リアルタイムでは前作 "Walking Wounded"(1996年)ほど回数聴かなかったが、やはりクラブ・ミュージックの季節をふまえた名演ぞろい。音づくりは様変わりしても、デビュー時からの一貫した表現姿勢をびしっと示した、有終の美といえる逸品だ。早くも完成したベン・ワットのソロ新作 "Fever Dream" は、きたる4月のリリース。




VELLY JOONAS / Stopp, Seisku Aeg! (7 inch)

  ひょっとして北欧エストニア製のお皿を買ったのは初めてかな。かの地の埋もれた未発表音源をアナログ盤でよみがえらせるフローティ発。質素なルックスながら、じつはエストニアのソウル・ミュージック史における重要人物という、ヴェリーさんの蔵出し2曲いりだ。両面ともに、有名ヒット曲を母国語で歌うカヴァー・ヴァージョン。A面がフリーダの 'I See Red'(1982年)で、B面がロバータ・フラック 'Feel Like Makin' Love'(1974年)なんて、洒落ているじゃないかい。耳慣れぬエストニア言葉が、なんとも初々しくエキゾティックなのね。




MIKE LUNDY / The Rhythm Of Life (LP)

  第3位のライオン&ザ・ラムを出したオスロのプリザヴェイション・レコーズとともに、現地ならではのダイレクトさを売りにする新進気鋭レーベルが、ホノルルのアロハ・ガット・ソウルだ。ついに出たって感じのコンテンポラリー・ハワイアン専科が12ページのブックレットつきで新装再発するは、白黒イラスト・ジャケで知られるマイク・ランディの1980年粒ぞろいソウル名盤。2003年にAORの伝道師こと中田利樹氏のクール・サウンドからCD化されたけど、アナログ皿は待望だもんね。
  そしてこのたび、ロンドンのストラット・レコーズがアロハ・ガット・ソウルと組んで出すのが、ここら辺をまとめた過去最強の編集盤 "Aloha Got Soul - Soul, AOR & Disco In Hawai'i 1979-1985"。うーん、この選曲はちょっと凄い。早くも2016年版の当チャートいりは確実か。ここ数年でも、ロブ・メールルイババドゥハル・ブラッドバリーなんてところまでCD化され、モンド本や『レコード・コレクターズ』誌の特集に原稿を寄せたころとは隔世の感ありだよ。




THE SPECIAL AKA / In The Studio - Special Edition (2CD)

  つぎつぎとくりだされて財布が追いつくはずもない、想い出名盤の拡張版リイシュー。ぜんぶそろえたEBTGなんかは稀なケースで、入手は愛着の度合いや曲目の充実度、あるいはパッケイジの魅力しだいとなる。そこで、高2の夏休みに宿題をやりながら聴いたこのアルバム(笑)。アナログ盤時代から数えて5回めの購入だから、われながらよっぽど好きなのね。まずはこのカラー写真ジャケにやられて、ディスク2にはシングル・オンリー曲にピール・セッションズ、インスト・ヴァージョンと、いたれりつくせりで文句なし。しかし 'Racist Friend' の歌詞がこんなに響くご時世になるとはねえ……。例の怪しい7インチも買っちゃったけど、ダマーズ師匠のまとまった新作は気長に待とう。そして年末に亡くなったブラッドバリーさん、すかっとタイトなビートをありがとうございました。




UNIVERSAL TOGETHERNESS BAND / Universal Togetherness Band (LP)

  毎年必ずひとつはランクいりする、シカゴの名門ヌメロ・グループのひと味ちがうお仕事。扱う音楽の幅がますます広がってるうえに、新譜と中古盤にかまけがちというこちらの事情も重なり、なかなか追えなくなってきている。ザ・ロイヤル・ジェスターズの甘くせつなきチカーノ・ソウル集は後回しのままだし、ロブ・ガルブレイスの未発表音源集なんて、4タイトルまとめて送料込み$150のセット販売のみで手が出ない……。そんな現状でかろうじて入手したのが、伝説のローカルTV番組『ザ・シカゴ・パーティ』にも出演したソウル・バンドの1枚。アルバムぜんたいは少々元気よすぎの感あるが、リリースに先がけサウンドクラウドで聴けたA面第4曲 'My Sentiment' のさわやかメロウネスが気にいってさ。きたる3月には、グラム・パーソンズが提唱した“コズミック・アメリカン・ミュージック”ずばりのすてきなお皿ネオンなジャケもイカす)が待機して、2016年も懐ぐあいが悩ましくなりそうだ。




VARIOUS ARTISTS / Blue World - Music For The Lonely Hours (10 inch)

  いつものように街のレコード屋を回っても、滞在時間はけっして長くないジャズ売場。好きなお皿はざくざくのはずなのに、他の興味を優先するうちに、余力がなくなっちゃうのね。そこにこんなカジュアルな10インチがひょっこり現れて、思わず飛びついちゃった。50年代ジャズの粋なレーベル、ベスレヘム・レコーズの音源から、ひとりきりの時間というシテュエイションに合わせて選曲。いずれも曲名に 'Blue' という単語を含み、しっとりと浸れる6曲いりなのさ。裏面にライナーノーツを記した古典的なジャケながら、映るモデルはいまどきの女性だったりして、さらっと気軽なパッケイジングに惹かれたよ。それもそのはず、ヴィンテイジ様式を得意とするグラフィック・デザイナー、ジョン・セラーズがこのたびサンデイズド傘下で始めたレーベル、アーカイヴズ・オヴ・アメリカの初作品なのだそう。すでに夜をテーマにした続編 "Serenade: Night Ballads From Bethlehem" が出ていて、コレクタブルなシリーズとしても気になるね。




  いやはや、やっと2015年をしめくくれたよ。小学生にたとえると、夏休みの宿題を運動会の後に提出し終えた感じでしょうか(笑)。2016年ぶんは早めの準備を心がけるゾ。


2016年2月11日木曜日

BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 30 - Part 2

  世界最遅投稿の2015年お気にいり盤トップ30。後編、パート2だよ。
  パート1はこちら→ BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 30 - Part 1


SUZANNE KRAFT / Talk From Home (LP)

  近ごろはウェブ上でかんたんに試聴できちゃうから、スリルはないがお財布の面ではひじょーに助かる。そんなご時世に珍しくジャケ買いしたのが、梅雨空の街に似合いすぎだったこのLP。なんとなくレイニーなデニム感のイラストにイメージをふくらませ、「さぞ洒落者の女性なんだろうなぁ……」なんて浸っていたら、ディエゴっていうにいちゃん(フェイローズの一員)の変名と知りずっこけたよ。それでもこの淡くメロウなフィーリングは格別。ふたたびグルーミーな梅雨模様の午後、しっとりと聴き濡れたいブルー・アンビエント名演集でしょ。




ましまろ / ガランとしてる (12 inch/CDEP)

  さらにさかのぼって梅雨いり前、空気がゆるみ始めた5月初頭のそよ風にどハマりだった1枚。ザ・クロマニヨンズのマーシーとヒックスヴィルのふたりが組んだ新トリオ、ましまろのデビュー・シングルだ。3人は80年代に新宿ジャムで知り合ったというけれど、ほんと10代終わりの放課後で時間が停止したような、懐かしさとせつなさがもうたまんなくてさ。三多摩エリアに縁のふかい学友とよく遊んだから、マーシーのかもしだすディープな地元感が、なおさらぐっときたりして。夕暮れどきにふと聴きたくなり、夏の入口まで毎日のようにかけまくった大定番。初秋に出たアルバム『ましまろ』もよかったけれど、バディ・ホリー 'Heartbeat' の日本語カヴァー含む4曲に魅力が凝縮された、こちらがお気にいり。曲順ちがいのアナログ皿とCD、どちらも甲乙つけがたし。




MICKEY / Eye Witness (LP)

  そりゃ再生速度をいじってビートやエフェクトを施したリエディット音源なんて、サウンドクラウドにごろごろしているよ。でも、プロモーション用の非売品と念を押しつつもふつうに流通する(笑)、こんな怪しい存在感のパッケイジングに弱いのよ。レーベル名もずばり、レイテッドX。ワシントンDCのブギー探求集団PPU一派のミッキーなる口ひげ野郎が、有名無名問わぬクラシックスをことごとく低速エディットした、鬼凄センスの珍皿だ。決め手は、30年来の大愛聴盤であるラー・バンド "Mystery"(1985年)からニクいところ を選ぶ、A面第3曲 'Don't Break The Shadow of My Love'。2014年ランクいりライラック&シャンペイン 'Shower Scene' に匹敵する、VHS画質なミュージック・ヴィデオまでつくってぬかりなし。年末に出たレイテッド・X第2弾、ローズマリー・クァー(と読むのかな?)"Fantasy" は、輪をかけて初期MTVつけっぱなしのブラウン管フリークぶりで、いまのところレーベル打率10割だぜ。




MILD HIGH CLUB / Timeline (LP)

  先行の7インチからしてデイヴィッド・ピール "Have A Marijuana"(1968年)の引用ジャケで、このプロジェクト名。当然こんな音のゆるみぐあい、というかゆがみぐあいなのね。それでいてバーバンクやミレニアム周辺からメロディックなきらきら感を継承した、ある意味まっとうなカリフォルニア産サイケデリアでもある。そんな方向性と寸分のずれもないルックスの、首謀者アレックスくんは信用できそう。レーベルはストーンズ・スロウ傘下のサークル・スター・レコーズ。汲めども尽きぬここら辺の人脈は、つくづく凄い。
  ちょうど同時期に入手したホームシェイクのアルバム第2作 "Midnight Snack"も、つづけてターンテーブルによく乗せたっけ。これまたすこぶるけだるいホームメイド・AOR集。深夜の入浴前、肩の力を抜くのにうってつけのとりあわせだね。




ORIGINAL LOVE / Lover Man (CD)

  2016年はメジャー・デビュー25周年(もうそんなに経ったのね……)のオリジナル・ラブ。ここ3作はインディ・レーベルからの発表で、前の2作『白熱』(2011年)と『エレクトリックセクシー』(2013年)はD.I.Y.なアルバムづくりが裏目に出たように思え、ちょっと歯がゆい気持ちで聴いていた。どこかチープなプロダクションが、田島さんの高級な音楽性とちぐはぐに感じたというか……。そこにきました、3度めの正直。ひさしぶりの小松さん(ベース)や佐野さん(ドラムス)ら手練のセッションマンをがっちり迎え、ミキシング卓も専任に委ね、ずしりと手応えをとり戻しためくるめくポップン・ソウル集。アイドル・グループ、ネギッコに提供した「サンシャイン日本海」自演版の、絶妙なアズテック・キャメラ配合もごきげん(ひと足先に木暮さんもやっていたけどさ)。すでに4月のイヴェント『ラヴ・ジャム』(ペトロールズセロと共演)と、6月の人見記念講堂の切符はおさえてあるゾ。




ROMAN Á CLEF / Abandonware (CD)

  2014年ランクいりの "Days Of Abandon" の感想に書き忘れたけれど、ザ・ペインズ・オヴ・ビーイング・ピュア・アット・ハートを見直したのは、旧メンバーにアイスクワイアのカート・フェルドマンがいたことも大きい。そしてカートらが組んだ新たなトリオがロマン・ア・クレ(フランス語でモデル小説の意味らしい)。プリファブ・スプラウト路線といえば、最近ではスプラウトレスなんてモロな連中がいるけれど、そっくりさんショウを見ている気分になり、愛聴にまではいたらない。その点、こちらはトリビュートぐあいが微笑ましさにとどまって、じつに好感度高し。電気じかけとの独自配合でさりげなく仕上げてあるから、1985年の "Steve McQueen" 体験には遠く及ばないまでも、デジャヴ交じりの新鮮な気持ちで楽しめたよ。そういえば、2000年代初頭のこの国にスランバー・パーティなんてインディ・バンドがいたっけ。彼らの試みはかなり早かった。




MARK RONSON / Uptown Special (LP+CD)

  マーク・ロンソンにはデビュー以来まるでよいイメージがなく、2015年最大のヒット曲といわれる 'Uptown Funk feat. BRUNO MARS' も「能天気だなぁ」なんて遠目で眺めていた。その認識が変わり始めたのは、4月のどしゃ降りの夜。開館ほやほやTOHOシネマズ新宿でのコンサート映画、『デュラン・デュラン:アンステージド』の鑑賞中だ。ゲストで登場したマークの器用なギターが、意外と憎めなくてさ。よくよく思えば、近年のデュラン・デュランのプロデュース仕事は手がたいし、過小評価だったかもと本人のアルバムを試聴したわけ。はっきりいってブルーノ・マーズの歌声同様に、ソウルな妖しさやるせなさがすっきり抜け落ちた空虚な感覚。でもそんなプラスティックな人工的アミューズメントが、逆に快感だったりして。徹底したフェイク音楽と捉えると、ファンキーありブギーあり、80年代ヒットふうにAORまでとりそろえた、擬似コンピレイションとして満足度高い。夜のビーチの涼風ボッサ的 'Summer Breaking feat. KEVIN PARKER' と、哀愁のアーバン・クルーズ 'Heavy And Rolling feat. ANDREW WYATT' に漂う、ほのかなマイクル・フランクス感が効いているね。




S A L F U M Á N / . . . . (MP3)

  毎日朝晩の2回ほど、サウンドクラウドで新曲をチェックするくせがついた2015年。たいていは徒労に終わるが、ごくたまにすてきな出会いがあるからやめられない。その代表例が、アップする曲どれもがしっくりくるスペインのサルフマン(って読むのかな?)嬢。いまiTunesをチェックしたら、無料ダウンロードぶん含めて23曲入手ずみ。音色といい歌声といい、どこかトロピカルな開放感といい、すーっと心身を潤す不思議な作風は、まるで初期アンテナ初期ナイト・ジュエルの美点が溶けあったよう。グリーンの色調がよく似合うこの6曲いりEPなんて、まさに決定打。ほんとはこのジャケで片面3曲ずつの10インチなんて出してくれたら最高なんだけどねえ。つい先日ラヴ・アワ・レコーズから配信したニュー・シングル "F.M." は、早くも2016年ランクいり候補なのだ。




SEX ON TOAST / Oh, Loretta! (7 inch / MP3)

  メルボルンを拠点とする大所帯ソウル・バンド、セックス・オン・トースト。その名が示すとおり、ひょうきんセンスもあらわにキメるこの9人組の7インチも、やはりバンドキャンプを通じた直輸入ものだ。もしいまの世にアシッド・ジャズの "Totally Wired Australia" なんて編集盤が存在したら(たとえが古いゾ)、必ず1曲収録されただろう正統派スタイル。いっしょに購入したCDアルバム "Sex On Toast"(2014年)もごきげんなできばえだが、よりメロウ好みなこのアナログ皿が、ターンテーブルそばのヘヴィ・ローテイション置き場に長期滞在中なのさ。
  同じく豪州産のバンドキャンプ通販ものでは、アジア系ブラコン娘シュガーズのCDEP "Natural High" もカジュアルにして雰囲気ばつぐん。ソウル心あふれる7インチでは、伊太利亜発のクロスローズ feat. ナターシャ・スプリンガー 'Since I Found You' が、レコード・バッグにかかせないキラー名曲だ。




新川忠 / Paintings Of Lights (CD)

  2015年前半、もっともよく聴いたアルバムかもしれない。10年以上もキャリアがあるのに、寡聞にして知らなかった東京の才人SSWのアルバム第3作。ともするとヴィヴィッドな原色をバケツツールでどばっで済まされそうになるエイティーズの、淡く風雅な水彩画的一面をそっとすくいあげ、上等なポップスにしたてるコンセプトと実力にうなったね。線は細めながら透明感をたたえる歌心は、グリーン・ガートサイドにも通じる甘さと深みあり。インタビュー記事を読んだら、かつてお姉さんが聴いていたアーハスクリッティ・ポリッティレヴェル・42あたりを念頭においたとあり納得。ひょっとしてその姉上、同い年ぐらいじゃないかな。さらには曲テーマにカミーユ・クローデルを持ってくる感覚ね。レーベル・サイトのアルバム紹介に、大貫妙子の「ベジタブル」なんてキーワードもあり、なるほど忘れかけていたゴッサマー・グリーンな清潔感が、ありありとよみがえるわけだ。




SOGGY CHEERIOS / Eals And Peanuts (CD)

  1959年生まれということは、ちょうど10歳年上なんだよね(たしか小西康陽さんも同じ)。諸兄がレコード・デビューした80年代半ば、こちらはちょうど高校生でさ。かれこれ30年以上、レコードや音楽にむちゃくちゃくわしい年長者として、勝手に頼もしく感じていたりして。“エヴリデイ・ソングブックス”と題し、惣一朗さんが月いちでタンブラーに挙げる10枚も、「なるほどいまはこんな感じかあ」なんてうれしく参考にしているしだい。
 そして、おふたりの出身地の名産品をならべた題名からして傑作の、2年ぶりアルバム第2集。名コンビぶりはより親密さを増し、アイディアをキャッチボールする高揚感が心地よく伝わる。ヴォーカル・ハーモニーをさらに充実させた、70年代原体験組ならではの細やかなポップ・センスに脱帽。さりげないほどに染みる、日本語ロックの精髄なり。




TRIPTIDES / Azur (CD)

  すかっと胸をすくサンシャイン・ポップを奏でる、L.A.のインディ4人組。すでに5年以上のキャリアがあるらしいけど、フランスの新鋭レーベルから出たこのアルバムで初めて知ったんだよね。過去作のアートワークを眺めてもビーチ&プール度数高く、陽光ふりそそぐカリフォルニアの風土に意識的な確信犯とみた。寒さにめっぽう弱い夏好きとしてはぐっとくるほかなしの、甘く儚きライト級サイケデリアなのだ。リヴァーブのかかりぐあいも、ゆらゆらっと快適。ときおり訪れるティーンエイジ・ファンクラブザ・スミスな瞬間にも、素直に好感持てちゃうんだな。スロウ&メロウな第4曲 'Not Mine' は、わがサマー・クラシックスの仲間いり。




TUXEDO / M+M Mixes (12 inch)

  なんかちょっと優等生っぽすぎるのかなあ。なぜかダイレクトに迫ってこない、メイヤー・ホーソーンのソウル・ミュージック。たとえば2013年の12インチ 'Her Favorite Song' は、最初オリヴァーによるリミックス版にぐっときて入手。そこから徐々にオリジナルのよさがわかってきたりしてね。タクシードの場合も、大好物なスタイルのはずなのに、惜しいところでのめりこめない一線を覚えるのだ。どこかこぢんまりというか、上品にまとまったミキシングが障壁なのかな。だってベテランのディスコ職人ジョン・モラレス手がけるこのリミックス皿には、夢中になれちゃったもの。確実にずるむけ度倍増して、心置きなくダンスできちゃうってわけ。そんな好みの相違はあれど、メイヤーくんが気になる才能であることにちがいなし。




BRIAN WILSON / No Pier Pressure - Deluxe (CD)

  "That's Why God Made The Radio"(2012年)や千葉ロッテ球場公演こそすばらしかったが、ソロでは企画盤がつづいたブライアン。ガーシュイン名曲集にとまどって、ディズニーのやつにはとうとう手が出なかったもんなぁ……。ようやくオリジナル曲をとりそろえ、すかっとビーチに返り咲く待望作だ。若手レーベルメイトを招いた4つ打ち仕様 'Runaway Dancer feat. SEBU' はご愛嬌ながら、やはり真性カリフォルニア・ミュージックの魔法には抗えない。名ホーン奏者との意外な好相性 'Half Moon Bay feat. MARK ISHAM' に心解きほぐれ、かのインスト名曲 'Summer Means New Love'(1965年)に歌詞がついた 'Somewhere Quiet' で永遠の夏が胸にきざまれたよ。




YOUNG GUN SILVER FOX / West End Coast (CD)

  ショーン・リートーキン・ラウド期から追っていて、'Happiness'(2000年)なんか永遠の名曲だし、アンディ・プラッツ率いるママズ・ガンのことも、ちょっと大味ながらも光るポップ・センスに感心していた。そんな両者がデュオを組み、棕櫚のそそり立つウェストコースト・サウンドに挑むなんて、思いもよらなかったよ。欧米でネッド・ドヒニーが再評価されるAORへの順風にタイミングよく乗り、初期アサイラム・レコーズ直系路線ときたもんだ。プレイヤードゥービーズあたりをちらりと織りこみながらも、今日的に更新する耳心地は、古典的アレンジ研究に余念のないリーと、ロックン・ソウル道を邁進するプラッツの面目躍如。クール・アンクル "Cool Uncle" と並び末長くつきあえそうな、2015年AORの最高峰だゾ。




   それにしても遅くなっちゃった……。あとは残すところ、お気にいり“再発盤&発掘音源盤”のトップ10のみ。数日のうちに投稿を済ませ、いまさらながら2015年をしめくくろうと思います(笑)。


BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 30 - Part 1

  われながら、とんだ呑気者でございやす。年末に選び終えたものの、感想コメントに手間どるうちに、2月も早や2週め……。おそらく世界最遅(笑)発表の2015年お気にいり盤のトップ30だよ。
  いつもどおりトップ3だけをきめ、あとはアルファベット順。タイトルうしろのカッコ内は所有しているフォーマット。それぞれに感想コメント、ジャケット(もしくはレーベル部分)写真をつけ、YouTubeやSoundCloudで聴けるものは貼っておいたゾ。
  ページが重くなるので記事をふたつに分けた前編、パート1からどうぞ。


☆第1位
MOCKY / Key Change - Deluxe Edition (2CD)

  出会いのきっかけとなったへんてこ12インチ "Me-so-funky"(2001年)から早14年。その間いちどたりとも期待を裏ぎらないモッキーの、お待ちかね最新アルバムが第1位だ。名盤 "Saskamodie"(2009年)の延長線上にあるインスト多めの独特ソフト・ソウル・スタイル(口笛いり)が、ぐんと深みを増したずばり最高傑作。聴くたびに胸がしくしくっと疼くほどの名曲 'Weather Any Storm' の美しさときたら! よりたおやかで開放的なフィーリングには、やはり新天地L.A.の環境も大きく作用したのかな。虫眼鏡で老眼を凝らせば、クレジットにモーゼズ・サムニー(EP "Mid-City Island" が2014年ランクいり)の名前もあるもんね。
  そしてついに実現した10月の初来日ツアー(招聘したウィンドベルの富田さんに感謝)。自作曲 'Inside Voice' の歌心で会場を陶然とさせた鍵盤のジョーイ・ドシックという才能の発見も含め、これまたすばらしくごきげんなステージだった。帰りがけに同じく来日中のアダム・ベインブリッジ a.k.a. カインドネスの姿を見かけたが、ごく自然に客席をダンスフロア化させる技量や資質という点で、1月に観たカインドネス公演との共通性、同時代性がうかがえたのは興味ぶかし。けっきょくそのふた組が、2014年と2015年の当チャート首位というのにも、うなずけたりするわけさ。




☆第2位
JAM CITY / Dream A Garden (LP)

  お皿を手に入れたのは、なんとデビュー・12インチ 'Magic Drops'(2010年) 以来のジャム・シティ。しばらく聴かぬ間にめざましい成長を遂げてびっくりのアルバム第2作だ。だってインクの "No World"(2013年ランクいり)と並んで賞したくなるほど、空漠としたメロウネスとメランコリアに覆われたアトモスフェリックなR&B路線なんだもの。とはいえ、曇り空をぼんやりと仰ぐスロウジャムのインクに対し、こちらは同じ空気を肌で感じながらも、じゃりっとアスファルトを踏みしめるウォーキング・テンポ。インダストリアル路線の延長で打ちつけられる粗いビートは、まさに不穏な時代の脈動。南ロンドンの多感な青年が鬱屈と希望に揺れながら彷徨する、都市のサウンドトラックといった趣が、ひりひりっと皮膚感覚でリアルに迫るのさ。




☆第3位
CHLOE MARTINI / Private Joy EP (12 inch/AAC)

  とにかく真夏の夜にヘヴィ・ローテイションしまくった、(リリース時点で)弱冠18歳というワルシャワ娘の4曲入りEP。サウンドクラウドのタイムラインに流れてきたとたん、ぐっときまくり即AACのデータを購入。追ってフランスのレーベルから出た12インチ皿も、迷わず手に入れちゃったわけさ。なかでも 'Get Enough feat. ALYSS' は、新人賞どころか年間ベスト・ソング賞を差しあげたいほどの名曲でしょ。せつなさと爽快感がないまぜになった、このフィーリングはちょっと凄い。80年代ブラコンのクリシェをさらりと瑞々しく更新してみせる、破格のプロデュース力なのだ。今後ぐんぐん浮上するにちがいない稀有な才能だゾ。




ここからはアルファベット順だよ。

ASO / Love Journey (MP3)

  「いつかはその気になるでしょ」なんてのんびりかまえ、あえて距離をおいてきたバンドキャンプとサウンドクラウド。それが前年あたりからおのずと利用する機会が増え、2015はようやく自分にとっての元年といえるほどにチェックするくせがついた。新手のメディアが自然と身につくのに、どうも時間がかかる性分なのね……。
  そこで数えてみると、バンドキャンプでは1年間で計36タイトルを購入(コレクション一覧をご参照のほど)。割高ながらもフィジカル版を選ぶのは、やはりお皿世代の哀しい性。そんななか、データ配信のみでめろめろメロウな気分に浸らせてくれたのが、サンフランシスコの制作集団メロウ・オレンジの一員、アソーのジャジー・ビーツ集なのだ。雨に濡れたガラス越しの灯りそのままのたまらんムードが、夕食の皿洗いをする午後9時台になぜかフィット(笑)。いち日をしめくくる手前のひとときに、やわらかなトーンが安堵感をもたらすわけ。全22曲収録で、ここまで粒ぞろいなのも珍しい。




BADBADNOTGOOD / Velvet (7 inch)

  前年の第3位に入ったムーンチャイルドの傑作セカンド "Please Rewind" は、このたび晴れて英国ブライントンのトゥルー・ソウツから新装再発売。流通網がぐんと拡がり、めでたしめでたし。と同時に自主製作盤のほうはバンドキャンプからひっこめちゃったご様子。本国ではジ・インターネットと秋のツアーを回ったそうで、なんともうらやましい組み合わせじゃないの。
  2015年もここら辺の新しいジャズをほんのちょっとだけつまみ食い。とりわけバッドバッドノットグッドの7インチと、年末にCD化されたサンダーキャットのEP "The Beyond / Where The Giants Roam" の2枚はしっくりきた。しかし両方を残す余地がないので、ここではインターFM『モーニング・グルーヴズ』でふいにB面 'Boogie No.69' が流れた、4月の昧爽どきの快さを重視。腕っこきお坊っちゃまトリオの前者を選んだ。メロウ好みな2曲入りっていう、ドーナツ盤のコンパクトさがまたいいんだな。




BLUE JEAN COMMITTEE / Catalina Breeze (one sided 12 inch)

  秋に "Gentle And Soft: The Story Of The Blue Jean Committee" というモキュメンター番組も制作されたというのに、残念ながら日本国内じゃ観られないようなんだな……。そもそもはSNLから飛びだした、いわばザ・ラトルズスパイナル・タップの70年代西海岸ロック版(設定上はマサチューセッツ出身)。なんとアナログのレコードまで出してくれちゃって、このジャケだもんねぇ(笑)。イングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーというか、ヴードゥリス&カーンというか、ブラウンスミスというか……ウェストコースト/AOR派にはおなじみの様式でございます。しかもタイトル曲 'Catalina Breeze' を聴いたら、ふつうにぐっとくる名曲だからうれしいじゃないの。YouTubeのコメント欄に「ポコパブロ・クルーズリトル・リヴァー・バンドあたりを思いださない?」なんてあったけど、まさにその感じ。おまけに笑えるってのが最高。
  片面プレスの7曲入りで、およそ10分強という収録時間。そこにぎゅぎゅっとエッセンスを凝縮してあるから、意外やもの足りちゃうのが不思議だな。じつは2014年の時点で7インチ 'Massachusetts Afternoon' を出していたと知り、そちらもあわてて入手。ともあれこんなの出しているドラッグ・シティはえらい!




THE BREEZE / Cocktails By The Pool (12 inch)

  こちらはサウンドクラウド経由で知った、ベタなプールサイド書き割り感が最高なリエディット皿。だってこの名前に、このアートワーク。「BREEZEが心の中を通り抜ける」を地でいく、80年代後半FMエアチェック気分がたまらん4曲いりだ。バレアリックと呼ぶには都会のオアシス度高い、なんとも微妙なクワイエット・ストームぐあい。つまりは購入先であるハンブルクのオンライン店、グローイング・ビン・レコーズの主人バッソが提唱し同名コーナーも設けるナウい感覚、“カクテルズ・バイ・ザ・プール”を具象化した1枚なのね。なかでも 'Mischivous Whispers' は、第3位のクロエ・マルティーニ 'Get Enough feat. ALYSS' と並ぶ、うだる真夏の夜のヘヴィ・ローテイションなり。




GEORGE CLANTON / 100% Electronica (LP/MP3)

  これまたバンドキャンプ経由で本人から通販入手した、自主製作の限定アナログ皿。セルフィーのジャケに躊躇なしのヴェイパーウェイヴ的意匠をまとう、ブルックリン在住20代青年が奏でるシンセポップに、なぜかブラマンジェOMDが大好きだったころの懐かしい感覚がよみがえってきてさ(笑)。歌いかたがまたいかにもエレクトリック様式で、いわばナウさと懐古の狭間で宙ぶらりんの快感。当のジョージくんからすれば心外な誤解かもしれないが、かつて夢中になった80年代組の新作を聴いても、ここまでフレッシュな浮遊感は味わえないもの。ホワイト・レーベル盤にぺら1枚のアートワーク、ステッカーのおまけつきという、家内制ふうチープ仕様もやけにそそるのだ。




COMPUMA feat. 竹久圏 / Something In The Air - The Soul Of Quiet Light And Shadow (CD)

  コンピューマこと松永さんが、京の老舗茶問屋宇治香園から創業150年ノベルティCDを依頼され、その流れで相棒に圏ちゃんを迎えての初ソロ・アルバムづくりに発展。緑深い茶園で現地録音した素材を、電子じたての快音とともにスタジオ精製したアンビエント作品なんて、もう最高にきまっているでしょ。お茶でほっとひと息をつく至福にすばらしく同調する、五感を通じたトリップからの純粋なアウトプット。飄々と渋いふたりの個性が浄らかなアンビエンスからこぼれ、静けさに魂が宿るんだよね。




COOL UNCLE / Cool Uncle (CD)

  ベテラン勢の確立した作風に新たな息吹をもたらした、ジェフ・リンドン・ウォズの80年代後期仕事を思いだしちゃった。ミスターAORことボビー・コールドウェルと、ヒップ・ホップ世代の名制作者ジャック・スプラッシュ。親子ほど年の離れた両者が、マイアミつながりで巡り合い、オーソドックスとコンテンポラリーのスタイル融合を図るプロジェクトのデビュー作だ。ソウルフルなAORでありながら、路上に根ざしたR&Bとしても受けとめられるリアルなビート質感は、かつてない妙味。CD時代以降のコールドウェルで、こんなに自然に体が揺れるアルバムはなかったもの。メイヤー・ホーソーンジェシー・ウェアシーロー・グリーンら客演勢も適材適所で、今後の規範にすらなり得る大成功コラボレイションだよ。国内仕様のアートワークはそっけないから、目玉ジャケの本国盤で入手。




DÂM-FUNK / Invite The Light (3LP)

  お気にいり曲のYouTubeリンクをひんぱんにツイッター投稿する、ごぞんじデイム・ファンク氏。かつてウェストサイド・コネクションのプロダクションに関わった西海岸ファンカーが、いまやプリファブ・スプラウトに心酔しているとは、さすがわかっていらっしゃる。なんたって、初期シングルのみ収録のマイナー曲 'Spinning Belinda'(1984年)までチェックしているからさ。
  とはいえ、いきなりがつんときたデビュー・シングルB面 'Galactic Fun'(2008年)に匹敵するお皿はなかなか出してくれず、ちょいとやきもきしたところに会心のセカンド・アルバムだ。ゆる~りとグルーヴするミッドテンポ中心というのがうれしい堂々の20曲。銀ぴか3面開きスリーヴ、白ヴァイナル3枚組の豪華仕様がお似合いだし。ジュニー・モリスンリオン・シルヴァーズ3世&4世(!)に、アリエル・ピンクが並ぶゲスト人選がイカすねどうも。




ECD / Three Wise Monkeys (CD)

  ぼちぼちとデモに出かけているここ5年ほど、いつもお見かけするから勝手に親しみを覚えちゃったりしてね。そしてたまたま観ていた、9月あたまのドミューンのSEALDs特番。スタジオ・ライヴで披露された4曲が圧巻でさ。発売後すぐに買って聴いて、さらにぶっとばされちゃったわけ。年1枚ペースを保ちつつ、いつにも増して凄まじくドライヴする通算第17作。やりきれない日常や路上のプロテスト直送で明瞭に打ちつけられる言葉の連なり、ひらめきと熟練が相乗する不敵な面がまえのビートにつくづく釘づけだよ。ラジオで安倍の国会答弁が流れたりすると、虫酸が走ってげんなりしがちな日々。そこでびしっと尻を叩いてくれるのが、この比類なきカンフル剤的アルバムさ。毎度のことながら石黒くんのデザインも最高。




THE INTERNET / Ego Death (CD)

  "Purple Naked Ladies"(2012年)に "Feel Good"(2014年)、そしてこのアルバムと、3枚連続で年間トップ30いりを果たしたジ・インターネット。大好きなんだよねえ。実質はバンド編成だった前作の時点でも、当初のふたり組だった印象をひきずっていたけれど、集合写真ジャケでどーんとイメージ刷新。基調となるメロウなテイストは不変の好演ぞろいで文句なしだ。でもまだ新しい4人の名前をちゃんと覚えられないんだな……。
  ところでこの投稿が大幅に遅れたから、すでに今年1月の初来日公演(恵比寿リキッドルーム)を観たあとなんだけどさ。ギターのスティーヴ(現役高校生)は不在の5人編成。どたばたと手数多めのドラム担当クリストファーと、Tシャツを脱いで弾けまくった鍵盤奏者ジャミール(サンダーキャットの弟)の躍動が印象ぶかし。クールな3人との対比もばっちりで、気持ちよくバランスのとれた“バンド”として惚れなおしたよ。
※ファーストおよびセカンドの題名うしろの括弧内は、ディジタル配信ではなくCDの発売年。




SUSAN JAMES / Sea Glass (CD-R/MP3)

  またまたバンドキャンプ経由で通販した自主製作CD……というか、よく見るとCD-Rなんだけど、ブックレットもついた見開き紙ジャケのパッケージはしっかり。編曲と鍵盤でショーン・オヘイガン(ザ・ハイ・ラマズ)が全面参加というので試してみれば、予想以上に豊かな響きのカリフォルニア産オーケストラル・フォーク・ロック集で、即愛聴盤の仲間いり。片隅にワーナー・ブラザーズのロゴがついていたって不思議じゃない、実力派女性SSWの隠れた名盤だと思う。もっと評判を呼んでもよいはずだ。第1曲 'Poseidon's Daughter' のすばらしき生演奏動画も必見。




KODE9 / Nothing (CD)

  2009年あたりからつづいたダブステップ熱はだいぶ沈静化。多様化と枝わかれで追えなくなっているという話もあるけどさ……。名門ハイパーダブにひいきのお皿は数あるものの、主宰者であるコード9博士の作品はなんと初購入。よき相棒のザ・スペイスエイプが亡くなってどうくるかと聴いてみりゃ、第4曲 'Holo' で飛びだす水晶のごとき一瞬のきらめきにやられた! イエローマジック歌謡/¥ENレーベル派におなじみ“あの曲”のサンプルに意表をつかれ、さすがの審美眼にうなるほかなし。深遠な音楽的素養を溶かしこむクリアかつミニマルな音響工芸でありながら、強靭なバネの効きでグルーヴを途切れさせぬ、みごとな単独名義初アルバムだ。




☆パート2(後編)→ "BABY RECORDS' 2015 FAVES TOP 30 - Part 2" につづく。