2016年3月3日木曜日

2015年の落穂ひろい

  世界最遅の年間チャート投稿でようやく2015年をしめくくったけれど、まだこれが残っていたよ。年を越してから入手しお気にいりとなった前年リリース作を落穂ひろいするコーナー。ジャケ裏に2015と記されているものを2016年ぶんにくり越すというのは、どうにも許せない性格なのね。というわけで、まる2ヶ月経ったタイミングで選んだ5点ほど。さっそくいってみよう。


SPINETTA / Los Amigo (CD)

  本来なら昨年のうちに即買っていてしかるべき、故スピネッタの未発表アルバム。以前からオフィシャルのYouTubeチャンネルを登録していて、小出しにされた予告編動画は毎回チェックしていたんだよ。そこから察するに、どうやらスピネッタが遺した未完成音源に友人たちが追加録音した、いわば 'Free As A Bird'(あるいは "The Endless River")的なものだろうということはつかめた。でもなんとなく気持ちがひいちゃってさ。さらに先行公開された収録曲 'Iris' の音源。この泣きがまたぴんとこなかった……。じつのところはアルバムの流れで聴くと、かなりぐっとくるんだけどね。そんなぐあいで事前情報が仇となり、いちど入手を見送っちゃったわけ。思いなおして2月半ばに新宿ユニオン4階で購入してみりゃ、ジャジーな第1曲 'Apenas Floto' からもう最高。そりゃそうか、スピネッタなんだから。




HORSEBEACH / II (LP)

  その筋のファンには人気らしいのに、寡聞にして知らなかったマンチェスターのインディ4人組。気づいたときには2枚めのアルバムが出ていて、なかなか雰囲気のあるギター・ポップを聴かせるんだなこれが。弾けすぎず気だるすぎず、地味ながらもきらりと光る中庸の魅力だね。焦ってデビューLP(2014年)と昨年出た7インチ2種も入手。全般としてリヴァーブのかかりぐあいも好みで、部屋のなかをふわーんと漂う感じが快し。




ROSEMARY QARR / Fantasy (LP)

  年間チャートミッキー "Eye Witness" のところでもすこし触れた、レイテッド・X第2弾アルバム。ブラウン管時代の深夜TVザッピング感覚が、80年代育ちおぢさんにはたまんないのね。懐かしVHS路線といえば、ヴェクトロイドなんてそのものずばりなプロジェクトも暗躍中だが、バンドキャンプのディジタル配信だけではちょいともの足りない。妖しげなパッケージに収められたアナログ皿を介すると、デジャヴとナウの謎めいた混沌がぞんぶんにひきだされるわけさ。




SILENTJAY x JACE XL / Sacrifice (Cassette)

  人気復活ということで街のレコード屋でもカセットをよく見かけるが、どうもいまひとつ食指が動かない。物心ついてから絶えず親しむレコードとちがい、いちどは距離をおいたメディアというのが大きいかな。とはいえバンドキャンプで気にいってフィジカル版はカセットのみ、お値段もほどほどというこんなミニ・アルバムなら、ついつい "Buy Now" の文字をクリックしちゃう。得意になって細かいビートを刻む風潮に対し、ゆったり隙間を設けたトラックと微熱なソウル心で洒落る、メルボルン発R&Bデュオの6曲いり(ディジタル版は7曲)。なんとなく聴き覚えありと思ったら、B面あたま 'Everybody Here Wants You' は故ジェフ・バックリー曲のカヴァーだって。本体に金色油性ペンの手書きナンバリング、両面カラー印刷のインデックスに歌詞ぎっしりのていねいさも好感度高し。やっぱりカセットは手に馴染むね。




ZACKEY FORCE FUNK / Chrome Steel Tiger (LP)

  先陣きったデイム・ファンクはもちろんのこと、つづくオメガ・スプリーム・レコーズ一派、そしてこのザッキーくんあたりが、近年ブギー系のお気にいり。蛇柄ジャケのデビュー皿 "Money Green Viper"(2014年)は、盤面見づらくDJ泣かせなマーブル模様で、レコード・バッグにいれるのを断念したっけ……。今回もスクリーン印刷ジャケにカラー・ヴァイナル仕様ながら、曲間溝の識別が容易でほっとしたりして(笑)。ずしりの手応えと妖しきメロウネス、ホームメイドな質感のバランス申しぶんない、粒ぞろいブギー・ファンク集だ。そして早くも最新作 "Electron Don" が出た好調ぶりだが、シンセポップ度高めの雑多さが少々散漫に思え、目下のところ入手は見送り中。